国のガイドライン、狙いは禁止ではなく衛生
厚生労働省が、生食用の鶏肉を加工するときの衛生基準について、国として初めてのガイドラインを作る方針だと報じられました。2026年7月のことです。鳥刺しを禁止する話ではなく、生で食べることを勧めるものでもありません。基準の中身と始まる時期は、まだ公表されていません。
「鳥刺しは食べられなくなるの?」「鹿児島の店はどうなる?」と気になった人もいるでしょう。この記事では、報道と公的な資料で確認できたことを整理します。2026年10月7日時点の情報です。新しい発表があれば、内容を更新します。
報じられていること
- 国として初めて作る
- 加工するときの衛生基準
- 販売業者と処理場が対象
まだ分からないこと
- 基準の具体的な中身
- 始まる時期
- 守らない場合の扱い
ガイドラインができても食中毒のリスクはなくならない
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鳥刺しのガイドラインとは?国が初めて作る方針
ここでいうガイドラインは、事業者が生食用の鶏肉を加工するときに守る衛生基準をまとめたものです。NHKが2026年7月2日に、朝日新聞が7月12日に、厚生労働省の方針として報じました。
朝日新聞によると、対象は飲食店を含む販売業者と食肉処理場です。専門家による約3年の研究を経てまとめるとされています。担当者は、ガイドラインは生食を推奨するものではないと説明しています。幼い子や高齢者はリスクが高いことも、あわせて知らせていく考えです。
| 項目 | 報じられた内容 | 確認の状況 |
|---|---|---|
| 何を作るか | 生食用の鶏肉を加工するときの衛生基準 | 報道で確認 |
| 誰が対象か | 飲食店を含む販売業者、食肉処理場 | 報道で確認 |
| 基準の中身 | — | 未公表 |
| 始まる時期 | — | 未公表 |
厚生労働省のサイトには、ガイドラインの本文や発表のページはまだありません。当サイトが2026年10月7日に、食中毒のページと審議会の資料を確認した結果です。いまは「これから作る」という段階だと受け止めてください。
出典:NHK「生食用の鶏肉 衛生基準などのガイドライン初めて策定へ 厚労省」(2026年7月2日)
朝日新聞「生食用の鶏肉、初のガイドライン策定へ 厚労省が衛生基準示す方針」(2026年7月12日)
なぜ今、鶏肉の生食にガイドラインを作るのか
理由は、カンピロバクターによる食中毒が減っていないことです。カンピロバクターは、生や加熱が足りない鶏肉が主な原因になる細菌です。厚生労働省は、細菌による食中毒の中で、近年もっとも発生件数が多いと説明しています。
| 年 | 事件数 | 患者数 |
|---|---|---|
| 令和3年 | 154件 | 764人 |
| 令和4年 | 185件 | 822人 |
| 令和5年 | 211件 | 2,089人 |
| 令和6年 | 208件 | 1,199人 |
| 令和7年 | 220件 | 1,226人 |
この数字は、鳥刺しだけのものではありません。焼き鳥の加熱不足や、水が原因の事例も含みます。それでも、年間200件前後という水準が続いています。
国はこれまでも対策をとってきました。2017年には、鶏肉が加熱用であることを流通の中で確実に伝えるよう、自治体に通知しています。2018年には、食中毒を起こした事業者に厳正な措置をとるよう求めました。それでも発生が続いているため、対策を強める流れになったと報じられています。
出典:厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
厚生労働省「食中毒統計資料」
鳥刺しにこれまで国のガイドラインはなかった
肉を生で食べることへの決まりは、肉の種類で違います。牛と豚には国の決まりがあります。鶏には、国がまとめた基準がありませんでした。
| 肉 | 国の決まり | 時期 |
|---|---|---|
| 牛肉(内臓を除く) | 生食用の規格基準がある | 2011年 |
| 牛のレバー | 生食用の販売・提供を禁止 | 2012年 |
| 豚の肉・内臓 | 生食用の販売・提供を禁止 | 2015年 |
| 鶏肉 | 国の基準はない 一部の県が独自に定める | — |
鶏肉について独自の基準を持つのが、鹿児島県と宮崎県です。鹿児島県は2000年に「生食用食鳥肉の衛生基準」を作り、2018年に見直しました。宮崎県は2007年に対策を定めています。
厚生労働省も、鶏肉については「一部の自治体が対策を講じている」と紹介してきました。そのうえで、研究の結果を踏まえて具体的な対応を検討する予定だとしていました。今回の方針は、その延長にあるものです。
法律と販売のルールは、次の記事でくわしく整理しています。

出典:厚生労働省「食肉や内臓の生食は食中毒のリスクがあります」
鹿児島県「生食用食鳥肉等の安全確保について」
ガイドラインで鹿児島の鳥刺しはどうなる?
鹿児島の鳥刺しがどう変わるかは、まだ分かりません。国の基準の中身が公表されていないためです。ここでは、比べる材料として、いまの鹿児島県の基準を紹介します。
| 段階 | 鹿児島県の基準の内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 処理場 | 腸の内容物を付けない 洗って水を切り、表面を焼く | 表面の菌を減らす |
| 加工・調理 | 専用のまな板と包丁を使う 器具は83℃以上の湯で消毒 | ほかの食材から菌を移さない |
| 保存・運搬 | 10℃以下で管理 4℃以下が望ましい | 菌を増やさない |
| 表示 | 生食用であること 生食のリスクの説明 | 食べる人が判断できる |
この基準は、県が目標として示しているものです。食品衛生法にもとづく強制力はないと、県が説明しています。国のガイドラインがこの内容とどう重なるか、どこが違うかは、公表を待つ必要があります。
報道の範囲では、鳥刺しの販売や提供を禁止する方針は示されていません。「食べられなくなる」と決まったわけではない点は、押さえておいてください。鹿児島の衛生管理と統計は、次の記事にまとめています。

食べる側が求めているのも「基準が分かること」
全国の487人に、どんな条件なら鳥刺しを食べてみたいかを聞きました。1位は「衛生基準を満たしていると分かる店なら」で、70.4%が選んでいます(トリサシサツマ調べ、2026年10月、有効回答487人)。

一方で、鹿児島県と宮崎県に独自の衛生基準があることを知っていた人は15.0%でした。基準があっても、知られていなければ判断の材料になりません。
「馬刺しやユッケのように衛生基準が整備され、安全性を判断しやすくなるまでは、積極的に食べたいとは思いません。」30代男性・神奈川県
理由や条件のくわしい結果は、次の記事で紹介しています。

ガイドラインができても鳥刺しが安全になるわけではない
ガイドラインは、リスクを下げるための決まりです。安全を保証するものではありません。厚生労働省は、健康な鶏でも腸の中に菌を持つことがあると説明しています。いまの処理の技術では、菌を完全に取り除くことは難しいともしています。
鹿児島県の基準も、生食用の鶏肉に「食肉の生食は食中毒のリスクがある」と表示するよう求めています。基準があることと、食中毒が起こらないことは別の話です。
食べる側ができることは、ガイドラインの前も後も変わりません。
- 生食用として売られているものだけを選ぶ
- 加熱用の鶏肉を、生や半生で食べない
- 「新鮮だから安全」と考えない
- 冷たいまま持ち帰り、早めに食べる
子ども、高齢者、妊娠中の人、体調の優れない人は、生で食べるのを控えてください。症状が出たときは、早めに医療機関に相談しましょう。原因になる菌の性質は、次の記事で紹介しています。

鳥刺しのガイドラインでよくある質問
鳥刺しは禁止されるの?
禁止する方針は報じられていません。報じられているのは、加工するときの衛生基準を示すガイドラインです。牛のレバーや豚肉のような、販売や提供の禁止とは違います。
ガイドラインはいつから始まる?
時期は公表されていません。2026年10月7日時点で、厚生労働省のサイトに本文や予定は載っていません。当サイトは月に1回、発表を確認しています。
ガイドラインを守った店なら安心?
リスクは下がると考えられますが、ゼロにはなりません。衛生管理をしていても、菌が残ることはあります。体調や年齢によっては、生で食べないという選択をしてください。
鹿児島や宮崎以外で食べる鶏刺しは?
国の基準がないため、店ごとに管理の方法が違います。厚生労働省は、加熱用の鶏肉を生や半生で出さないよう、事業者に求めています。生食用として処理された鶏肉かどうかを、店に確かめてください。
食中毒の原因と防ぎ方の全体は、次の記事で解説しています。

鳥刺しのガイドラインは公表を待って確認する
厚生労働省は、生食用の鶏肉の衛生基準について、国として初めてのガイドラインを作る方針だと報じられています。禁止ではなく、生食を勧めるものでもありません。
基準の中身と時期は、まだ公表されていません。鹿児島の鳥刺しへの影響も、公表を待って確かめる必要があります。
ガイドラインができても、食中毒のリスクはなくなりません。生食用の表示を確かめ、控えたほうがよい人は生で食べないようにしてください。