鶏レバーは、中まで焼いてこそ
鳥刺しのレバー(鶏レバーの刺身)は、生で食べるのを控えてください。鹿児島県は2018年、生食用の鶏肉の衛生基準から肝臓を外しました。鹿児島市で売られていた鶏レバーの調査では、38検体のうち22検体からカンピロバクターが見つかっています。
居酒屋のメニューで「鶏レバ刺し」を見かけて、鳥刺しと同じように食べてよいのか迷う人もいるでしょう。この記事では、鹿児島県の基準と研究の結果をもとに、鳥刺しの肉とレバーで何が違うのかを説明します。
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鳥刺しのレバーとは
鳥刺しのレバーは、鶏の肝臓を生のまま、または表面だけ焼いて出す料理です。「鶏レバ刺し」とも呼ばれ、ごま油と塩で食べる店が多いようです。
脂が多く白っぽいものは「白レバー」と呼ばれます。見た目は違っても、同じ肝臓です。
鳥刺しの盛り合わせに入っていることも
店によっては、鳥刺しの盛り合わせに肝臓や砂肝、ハツ(心臓)を添えて出すことがあります。メニューに「レバ刺し」と書かれていなくても、盛り合わせに何が入っているかを確かめてください。
赤茶色でやわらかいものが肝臓、こりこりした小さな塊が砂肝です。生で出されたら、食べずに焼いてもらえるか店に相談する方法もあります。
牛と豚のレバーは法律で禁止
牛のレバーは、表面だけでなく内部から腸管出血性大腸菌O157が見つかることがあります。そのため、生で食べる用として売ったり、店で出したりすることが法律で禁止されています。豚の肉や内臓も同じく禁止です。
鶏の肝臓には、こうした法律の禁止はありません。ただし、法律で禁止されていないことは、安全という意味ではありません。東京都は、牛・豚・鶏の肉や内臓肉には、食中毒の原因になる菌がついている場合があると説明しています。そのうえで、中まで加熱するよう呼びかけています。
出典:東京都保健医療局「“生レバー”や“鶏さし”は、食べると食中毒になると聞きましたが、本当ですか?」
鹿児島県の鳥刺しの基準からレバーは外れた
鹿児島県は2000年2月に「生食用食鳥肉の衛生基準」を作り、鳥刺しを扱う処理場や店を指導してきました。この基準を2018年5月に見直したとき、対象から「肝臓」と「筋胃(砂肝)」を外しました。
外した理由
県は理由を次のように説明しています。
- 汚れやすい部位:肝臓や砂肝などの内臓は、解体のときに腸が傷ついて細菌に汚れやすい
- 検出率が高い:細菌の調査で、肝臓からカンピロバクターなどが見つかる割合が高かった
- 管理がむずかしい:いまは菌を管理するのがむずかしく、生で食べる安全を保てない
いまの基準の対象は、内臓などを除いた鶏の肉だけです。鹿児島の鳥刺しは、この肉を対象にした基準のもとで作られています。
なお、この基準は目標を示したもので、法律のような強制力はありません。県は、生の肉は加熱したものより細菌のリスクが高いとして、子どもや高齢者は生食を控えるよう求めています。鳥刺しの法律での扱いは、こちらの記事にまとめています。

鳥刺しのレバーに付く菌の調査結果
鹿児島大学の研究チームが、鹿児島市内の大型店4か所で売られていた鶏レバー38検体を調べました。買った時期は2023年7月から2024年3月です。国の研究費で行われた調査です。
| 調べたこと | 結果 | 分かったこと |
|---|---|---|
| カンピロバクター | 38検体中22検体(57.9%)で陽性 | 内部にも一定の数がいた |
| サルモネラ | 22検体中16検体(72.7%)で陽性 | 内部からは見つからず、表面の汚れと考えられる |
| そのほかの菌 | 内部からエロモナスなどを検出 | 生で食べると、これらの菌による食中毒のリスクもある |
研究チームは、表面を加熱しただけでは、カンピロバクターのリスクを完全には取り除けないと報告しています。表面をあぶったものも、中が生なら同じ注意が必要です。
調べたのは鹿児島市内の4店の38検体で、全国にそのまま当てはまる数字ではありません。また、調べたのは加熱して食べる用に売られていたものです。
出典:令和5年度厚生労働科学研究 分担研究報告書「食鳥内臓肉における病原微生物の汚染実態把握と汚染低減に向けた研究」(鹿児島大学 中馬猛久)
カンピロバクターがどんな菌で、なぜ鶏肉から防ぎにくいのかは、次の記事でくわしく説明しています。

鳥刺しの肉とレバーの違い
同じ鶏でも、肉と肝臓では菌の付き方が違います。ここまでの内容をまとめると次のとおりです。
| 鳥刺しの肉(もも・むね) | レバー | |
|---|---|---|
| 鹿児島県の基準 | 対象 | 2018年から対象外 |
| 菌の付き方 | 主に表面 | 表面に加えて内部にもいることがある |
| 表面をあぶる処理 | 基準で表面を焼くことを定めている | 表面だけでは不十分と報告されている |
鳥刺しの肉でも、食中毒のリスクがゼロになるわけではありません。そのうえで、肝臓は肉よりもさらに菌を管理しにくい部位です。
鳥刺しのレバーを食べるなら中まで加熱する
鶏レバーを食べるときは、中心まで火を通します。東京都は、肉の中心を75℃で1分以上(中心の色が変わるくらいまで)加熱すれば、食中毒菌は死ぬとしています。
- 中の色を確かめる:切って、中に赤い部分が残っていないか見る
- 半生やたたきは避ける:表面だけ焼いたものは、中の菌が残ることがある
- 店で出ても安全とは限らない:店で出されているから安全、というのは誤り
- まな板と包丁を分ける:生の内臓を切った道具で、加熱しない食べ物を扱わない
東京都は、生で食べられる肉は、生食用に加工した牛肉と馬肉だけだとしています。鶏肉を家で火を通して食べる方法は、次の記事で紹介しています。

出典:東京都保健医療局「“生レバー”や“鶏さし”は、食べると食中毒になると聞きましたが、本当ですか?」
鳥刺しのレバーでよくある質問
新鮮なものなら生でも大丈夫?
新鮮さは関係ありません。カンピロバクターは少ない菌の数でも食中毒を起こします。冷蔵して菌を増やさないようにしても、危険性は変わらないと東京都は説明しています。
砂肝やハツの刺身は?
どちらも内臓です。鹿児島県は、砂肝(筋胃)も肝臓と一緒に基準の対象から外しました。生では食べず、中まで火を通してください。
白レバーなら生でも食べられる?
白レバーは脂の多い肝臓です。色が違っても、生で食べてよいという根拠はありません。ふつうの肝臓と同じく加熱してください。
鶏レバーの刺身を食べてしまったら?
厚生労働省によると、カンピロバクターの症状は、食べてから一般に1〜7日で出ます。下痢や腹痛、発熱が出たら、何をいつ食べたかを伝えて受診してください。くわしくは次の記事にまとめています。

鳥刺しのレバーは生で食べず中まで火を通す
鹿児島県は2018年、生食用の鶏肉の基準から、菌を管理しにくいとして肝臓と砂肝を外しました。
鹿児島市の調査では、半分以上の検体からカンピロバクターが見つかり、内部にもいました。表面をあぶるだけでは防ぎきれません。
鶏レバーは、中心の色が変わるまで加熱して食べてください。
鳥刺しの食中毒の原因や症状、防ぎ方の全体は、こちらで確認できます。
